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投資をするな早めがお勧め! 30代からが一番効率的なこれだけの理由
金融広報中央委員会の調査結果(「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」平成27年調査結果)によると、老後の生活を心配していると答えた世帯は、「非常に心配」と答えたのが39.6%、「多少心配」と答えたのが41.0%、合計すると80.6%にもなりました。不安の理由については、「年金や保険が十分ではない」と答えたのが72.5%と最も多く、老後の資金に関する不安が大半を占めていました。
では私たちの定年退職後、主な収入源となる公的年金は、なぜ十分な額を期待できないのでしょうか。また、老後の資金対策として今から資産形成するうえでは、どのような考え方で、どういう商品に資産を配分していけばよいのでしょうか。特にまだまだ資産形成を考えることが少ない若い世代の人に向けて、本記事では簡単に紹介したいと思います。
今、なぜ資産運用が必要なのか〜日本の現状から個人が対策できること〜
日本は今まで国による保障が手厚く、終身雇用で真面目に働き、ある程度の預貯金を蓄えておけば老後の生活が何とかなってきました。
日本のこれからを考えると、人口減少とともに少子高齢化が進んでいき、医療費等や年金といった社会保障費は今後ますます膨大していくことが見込まれます。アベノミクスによって足元の税収は増えましたが、国の支出はまだまだ税収以上に多いため、国の借金は増え続けています。デフレ脱却も道半ばです。
年金受給の開始年齢の引き上げも予想されます。このような時代、特に、団塊ジュニア世代より下の世代の20代~30代の社会人には、自己の資産形成に自助努力が必要になってきます。
給与も頭打ちのこの時代で、仕事で頑張って少しでも給与を増やすこと、給与の一部を貯金して貯蓄を増やしていくことも大事ですが、リタイア後により豊かな暮らしをしていくためには、銀行預金による貯蓄だけなく、長期目線での資産運用にも早い段階から取り組むことが有益でしょう。
必要性は分かってもやってみないと分からないことはたくさんあります。少しずつ、損をしないように慎重に始めていければ十分です。
でも、資産形成・資産運用って何から始めればいいの?
資産運用というと、デイトレーディングのような株式投資やFXを思い浮かべる人も多いかもしれません。これらの手法で儲けようとすることが悪いことではありませんが、FXなどは誰かの勝ち(儲け)の後ろには誰かの負け(損)があるゼロサムゲームの世界です。
必然的に勝ち続けるのは難しいうえに、普通のビジネスマンである社会人が長期的に続けるのは時間的・精神的な負担も大きくなります。
それに、ルールや取引手法等も学ばなければなりません。何となく買ったり売ったりというやり方で儲けられるほど金融市場は甘くありません。初心者には資産運用を始めるハードルも高くなります。
そもそも本質的には資産形成は長期的に取り組んでいくべきものです。経済成長に伴う果実に期待する長期投資は、長期的にはプラスの利回りが得られる可能性の高いプラスサムの方法です。
投資にはもちろんリスクもありますから、お金が日々増えたり減ったりする価格変動のリスクや最終的に損をしてしまう可能性も十分に理解し、リスクとリターンのバランスを考慮して行っていくことが重要です。
まず、自分のお金を「いつでも使えるお金」「しっかりと貯めるお金」「じっくりと増やすお金」の3つのポケットに分けて考えてみるのはどうでしょうか。お金に色はありませんが、用途を分けて考えると整理がつきやすく、資産運用にいくらを回すべきかが見えてきます。
1. いつでも使えるお金(流動性資金)
普通預金などの流動性資金・・生活資金など毎日の必要なお金、急な出費の際にいつでも引き出せるお金です。緊急な出費や支出が見込まれている資金はしっかり確保することが重要です。
2. しっかりと貯めるお金(安定性資金)
定期預貯金や債券などの安定性資金・・住宅購入、子どもの教育資金など、将来のために安定的に管理したいお金はリスクを抑えて長期的に確保していくことが大事になります。
3. じっくりと増やすお金(収益性資金)
投資信託や株式などの収益性資金・・差しあたって使う予定のない余裕資金です。運用して将来のためにある程度のリスクを取っても増やしていきたいお金です。
「いつでも使えるお金」は安全に確保していき、「しっかりと貯めるお金」ではあまり大きなリスクは取らず安全性の高い運用を行い、「じっくりと増やすお金」でリスクを取って株式投資等を始めて行けばいいわけです。
じっくりと増やすお金のための余裕資金がなければ、まずは余裕資金を作ることから始めましょう。
また、じっくりと増やす余裕資金であっても、投資経験のない人は、いきなり多額の資金割合を資産運用に回す必要はなく、リスクの低いものから少しずつ始めていければ十分です。投資対象を偏らせすぎず、分散投資をしていくことも大切です。
投資を始めてみると、経済動向や金融市場の動向について関心が高くなり、情報のアンテナも立ってきます。学びを少しずつ続けていくと、金融リテラシーや投資リテラシーも向上し、資産運用も上手になることができます。20代や30代前半のうちは、早めに資産運用を始め、経験を積んでリテラシーを向上していくことが一番の効能になると言ってもいいかもしれません。
最初は、リスクが低く、シンプルな金融商品に投資をしていくことも重要です。
それでもリスクが気になる人には、「個人向け国債」
リスクが低く、シンプルな金融商品の中に「個人向け国債」があります。国は、税金による収入から、国家運営のための経費支出をしますが、収入が足りない分を「国債」を発行して資金の調達を行います。国債の元利の返済は国が責任をもって行います。
「個人向け国債」は、国が発行する「国債」の種類の一つで、銀行や証券会社等を通じて、一般個人が最低1万円から1万円単位で購入することができるものです。
では、リスクが低く、シンプルというのはどういうことでしょうか。
「個人向け国債」の特徴を端的に言うと、最低0.05%(税引前)の金利が年2回に分けて半年ごとにもらえます(正確には国債の実勢利回り等を考慮した基準金利を基に算出される金利と0.05%とを比較し、高い金利が適用される)。発行後、1年経過すれば直前2回分の利子が手数料として差し引かれますが、いつでも中途解約により元本での換金ができます。
つまり、1年以上保有していれば、元本割れの心配がなく資産運用ができるのです。ただし、1年経過後すぐに解約してしまうと、直前2回分の利子が差し引かれるため、得する分がなくなってしまいますので注意が必要です。
個人向け国債の商品ラインナップは3本で、変動10年(変動金利型10年満期)・固定5年(固定金利型5年満期)・固定3年(固定金利型3年満期)があります。
民間経営の銀行と国の信用を比べると、よりリスクが低いのは国といえます。1万円という少額から購入できますから若い社会人でも始めやすいでしょう。「しっかりと貯めるお金」の運用先としても考えられます。
2016年1月、日銀によるマイナス金利政策が導入されました。マイナス金利という言葉が独り歩きしている印象もありますが、一般個人の銀行預金にマイナス金利が適用されることは今のところありません。
マイナス金利とは、銀行が日銀へ預け入れる「日銀当座預金」を積み増していく分に0.1%のマイナスの金利、つまりペナルティを課しますよ、というものです。狙いは、銀行が必要以上に日銀に預けることを抑制し、銀行から企業への貸し出しを増やし、より民間の設備投資等への経済の活性化に繋がることへお金が回るように企図したものです。
これにより債券市場でもマイナス金利が発生し、実際に市場で流通する満期10年の国債利回りは既にマイナスになっています(市場に流通している国債で「個人向け国債」とは別のものです)。
これは、国債を市場で購入し満期まで持つと投資家は損をするということです。少し難しい話になりますが、利益を出すには買ったときより金利がさらに低下し(マイナス幅が拡大し)、国債価格が途中で上昇したところで売る必要があります。
市場では、満期までの債券価格は変動していて、金利上昇(下落)は債券価格の下落(上昇)という関係にあります。
一方、個人向け国債は元本が割れないうえに、最低0.05%という金利は確保されているので、1年以上保有していれば損をすることはありません。
市場の金利が上昇すると債券価格が下落しますが、変動10年(変動金利型10年満期)であれば、金利が上昇すると金利収入は増え、急にお金が必要になっても、直前2回分の利子というペナルティを支払えば元本で換金できます。
将来的な金利上昇リスクへ対処もできることにもなります。
損だけはしたくない、慎重な性格だけど資産運用は始めてみたい、という方には、投資先候補の一つとして個人向け国債を検討されるといいかもしれません。