将来のお金やリタイア後の生活に対しては、多くの方が不安をもっているのではないでしょうか。リタイア後豊かな生活を送るためには早くからの準備と資産形成の知識が必要になってきます。とはいえ、実際に何をすればいいのか…正直、よく分からないことの方が多いですよね。

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そこで今回は資産運用や節税など資産形成に詳しい会計事務所代表の伊藤さんにお話を伺いました!


豊かなセカンドライフを送るためには何が大切?

MONEY PLUS編集部: 将来のお金やリタイア後の生活について不安を持っている方が増えているようです。
マネーフォワードが2015年3月に行った「老後のお金に関する」アンケート調査では、定年・退職後に必要なお金について、男性が5,210万円で女性が4,237万円と回答しています。

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これからの時代、豊かなセカンドライフを送るためには何が大切になってくるでしょうか

私と同年代である今の30~40代の世代は、「デフレ」「不景気」という時代の実体験が長く、また、日本の財政問題、人口減が確実な人口動態、少子高齢化で増え続けていく年金や医療費等の社会保障費を考えると、自分が老後になった頃には国の用意したセーフティネットは当てになるのかどうかが分かりませんので、

自助努力で何とかしないといけないという漠然とした不安感を持っている人は多いのではないかと思います。ただ、仕事も忙しいし、お金に余裕があるわけでもない。漠然とした不安はあるが、何をどう対処していけばいいのか分からない、というのがほとんどの人の正直なところでしょう。

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将来への資産形成という観点では、稼ぐ力・支出のコントロール力・資産運用力を磨くことが肝心です。これらは一朝一夕では身に付きませんので、少しずつ長い目で意識的に向上していくしかありません。

もちろん、今を楽しむことや自己投資も大事です。どうバランスを取って将来に備えて、豊かなセカンドライフを送りたいか、自分はどうしていきたいか、を考えることがスタートかと思います。

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ビジネスパーソンであれば、上記で言う稼ぐ力がまずは大事です。資産運用は、本業に専念できるように「長期」「分散」投資が適した方法の一つであるかと私個人的には思います。

投資額は小さくても、複利の力が働く長期で資産を増やしていけるのは若い世代の特権です。
もちろん、結婚費用、出産、住宅購入資金の頭金や教育費などの大きなライフイベントへの資金的な備えは大事です。

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日本人は総じて貯蓄や保険といった守りの資産形成を好む傾向がありますが、積極的な投資による資産運用もしていかなければ、リタイア後の資金ニーズを充足できない可能性があります。

また、40代~60代であれば、親の介護、相続対策など、想定外の出来事に備えることも重要になってきます。

資産形成は「稼ぐ力・支出のコントロール力・資産運用力」が重要

長期的な資産形成をしながら、想定外の大きな出費にも対応できる準備が必要になってくるんですね。具体的にはどうすればいいのでしょう?

先に述べたように、稼ぐ力・支出のコントロール力・資産運用力を磨くことです。そのためには、どういうキャリアを歩んで将来どういう生活を楽しみたいか、という目標をイメージして、逆算で今どうしていくかを考えることが必要です。

また、稼ぐ力・支出のコントロール力というのは、いわゆる「フロー」ですが、資産運用力は「ストック」という観点を持つことが大切です。「ストック」というのは、バランスシート(貸借対照表)のことですね。自分の資産状況だけに目が行きがちですが、バランスシートの右側(負債側)も大切です。

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全体最適な資産形成をするには、預金、有価証券、不動産などの資産配分を時価評価で、総合的に見ていくことです。負債側は主にローンです。代表的なものは住宅ローンですね。数世代にわたるファミリー全体の家計を考える場合には、相続税発生予定額も負債で見ておくべきものです。長期的には資産>負債という構造にしていかないと家計は安定しませんね。

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ローンというのは、借金ですからむやみに使うことは控えないといけませんし、正しい活用法を身に付けないといけませんが、金融リテラシーの高い人ほど上手に活用している場合も多く見られます。

ここで取り上げる、証券担保ローンというのも、そういうものがあることを知っているだけでも、いざという場面で役立つでしょう。

「証券担保ローン」…はじめて聞きましたが、どういったものなんですか?

証券担保ローンというのは、持っている有価証券(株式・債券・投資信託)を担保にして、有価証券の時価の一定割合の掛目を上限に、資金を借り入れるという形態のローンです。
ローンなのでもちろん金利は発生しますが、保有している株式や投資信託を売却しなくても資金を手にすることが出来ます。一時的な資金や、想定外な資金ニーズ等、いざという時には活用できるかもしれません。

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例えば、証券会社大手である野村證券を傘下に持つ野村グループの野村信託銀行では、「野村Webプラスローン」という商品を用意しています。これは、有価証券の時価の50%~80%を掛目に10万円~1億円までのローンを受けることが出来ます。利率は2.975%(2016年1月現在、変動金利)と他のフリーローン等と比べると低めの金利で、返済も随時で可能です。ただし、担保の時価が変動すると借入限度額も変わりますから、ある程度余裕は持って活用する方がいいでしょう。

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(※5,000万円超のお借入れには、野村信託銀行所定の銘柄の担保設定が必要です。)

住宅ローンの頭金、入学資金、介護資金など、まとまった資金が必要な場合に、含み益がある有価証券を売却して換金すると税金が掛かってしまいますし、逆に含み損で売却したくない場合もあると思いますが、証券担保ローンを活用すれば一時的に資金を用意することができます。相続税の納税時なども同じです。相続した有価証券を一度に売却することなく、売却タイミングを見ながら、納税資金を確保することに活用できるでしょう。

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また、相続税対策としても、相続発生時期が迫っている時に、証券担保ローンを活用して、資金の一部で相続税評価が下がる賃貸不動産の手付金等に充当したり、非課税資産の墓地や墓石、仏壇を生前に購入したりして、相続資産を圧縮することも場合によっては検討できるかもしれません。オートローンや分割払いのローン等、借入利率の2.975%以上での負債がもしある場合には借り換え用途にも出来ますね。

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証券担保ローンは上手に活用できる場合も想定する一方で、リスクや特性を十分に理解する必要があります。返済の当てがないローンはもちろんお勧めできません。ですが、想定外の資金ニーズや緊急時で困っている時に、証券担保ローンがあることを知らないで損するよりは、知っておくと何かの際に役立ちます。

また、商品特性上、有価証券の価格変動リスクには注意すべきで、ボラティリティの高い株式等を担保にする際は十分な注意が必要です。負債によるレバレッジは上手に活用することによる効果もありますが、リスクも上がりますので、これらを十分に理解する必要があります。

なるほど、長期的な資産形成を考える上では、多くの選択肢をもっていることが大切なんですね!本日はありがとうございました。

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