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老後の夫婦2人の生活にはいくら必要になのでしょうか?
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回は読者の家計の悩みについてお答えします。
4年前に一人息子が亡くなり、59歳の夫婦2人の生活です。残す資産も必要ないため現在の住宅を資産活用しながら有意義な生活をしていきたいと思います。
一番の不安は、老後の資産管理や有料老人ホームなどに入るためにどのくらいの蓄えをすべきか。これから検討していきたいと思いますので、適切なアドバイスをいただければと思います。
(50代後半 既婚(子供なし) 男性)
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資産管理を含めたリタイアメントプランのご質問のようですが、ご希望の有意義なセカンドライフを過ごすためには、準備すべき資金面の前にどんな生活をしたいのかを描く必要があります。その描いた青写真によって蓄えるべき金額は変わってくるのです。
リタイア後にどんな生活を過ごしたいのかを考える際、まず「3W1H」を考えてくださいと話しています。
When(いつ)
3W1Hとは、When、Where、WhoとHowのことで、Whenとは「いつ」、言い換えれば「完全リタイアする年齢は何歳ですか?」です。この場合の完全リタイアとは、公的年金と金融資産(資産運用)だけで生活する年齢です。
ご質問者の年齢からすると、希望すれば65歳まで働ける、あるいは公的年金の需給が始まる62歳までは働くことができるはずですが、仮に60歳でリタイアしようと思えば、無年金時代をカバーするために蓄える資金は増えることになります。
逆に、65歳以降まで働けば、年金や金融資産に手をつける時期が後送りされますので、蓄える資金は早期リタイアよりも少なくて済むことになります。
Where(どこで)
Whereは「どこで」となり、終の住みかになります。
現在のお住まいに住まわれると思われますが、将来的に有料老人ホームに入居されることも視野に入れているのであれば、お住まいを売却して入居するのか、別途、資金を確保して入居するのかを決める必要があります。
元気なうちに、1度有料老人ホームを視察に行かれるとよいでしょう。有料老人ホームに入る場合、ご夫婦で入居されるのか、ご夫婦のどちらかが亡くなった時に入居するのかの時期も決められるとよいでしょう。
Who(だれと)
3つ目のWhoは「だれと」、厳密に言えば何人で過ごされるのかということになります。
ご質問者の場合はご夫婦で住まわれるのでしょうが、ご両親と同居のケースもありえます。水道・光熱費などの日々のランニングコストは、2人あるいは3人になったからといって、単身の場合の2倍、3倍になるわけではありません。通常は、住む人数が増えるほど1人当たりの日々のランニングコストは低くなるはずです。
How(どんな風に)
最後のHowは「どんな風に」ということで、日々の生活をどのように過ごされるのかです。
晴耕雨読で過ごされるのであれば、あまり生活費はかかりませんが、アクティブに過ごされるのであれば、それなりの生活費が必要になります。
さらに、一時的な支出として車の買い替え、海外旅行など、現役世代に出来なかったことをリタイア後にやろうと考えられているかもしれません。
これらの青写真がそれなりに描くことができれば、リタイア後に必要な概算値を計算することができるはずです。そして、リタイア後に受け取ることができる公的年金や企業年金を計算して、先の概算値から差し引いた金額が準備する必要がある蓄えということになります。
老後の資産管理、言い換えればいくら準備すればよいのかとまず蓄える金額を思い浮かべてしまいますが、最初にやるべきことはリタイア後の青写真を描くことです。
その青写真が具体的であればあるほど、準備しなければならない金額やどのくらいの運用益を確保するのかが明確になるのです。今日から、ご夫婦でリタイア後の青写真を描き始めてください。