年金への不安と不満・お金の世代間格差はどうなってる?

年金への不安と不満・金の世代間格差はどうなってる?

今回から「年金への不安・不満」の「不満」編に入っていきましょう。

年金制度への不満の第一は、”世代間格差 “だと思います。

昭和一桁の世代を親に持つ人はそう感じるかもしれませんが、

実際には年金の世代間格差はかなり大きいですよね。

なぜそうなってしまったのか。

それを知るためには、

日本の公的年金制度の歴史をさかのぼる必要があります。

しかし、その前に、日本の年金制度から離れて、

年金制度の一般論を考えてみましょう。

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“個人の扶養家族 “と “社会の扶養家族”

そもそも、年金という社会制度ができたのは、

社会が近代社会になってからです。それまでは、

老齢で収入がなくなった親は、子供に頼っていました。

これを「人的扶養」といいます。これに対して、年金制度は「社会的扶養」と呼ばれています。

ところで、年金制度が始まったときは、

ほとんどの人が加入していますが、しばらくすると、

加入期間が短い受給者も出てきます。

年金額は、基本的に「年金加入1ヶ月分の単価×加入月数」で計算されます。

ですから、当然、加入月数が少なければ、年金額は少なくなります。

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しかし、給付額が少なすぎると、

年金制度が「社会的支援」の役割を果たせなくなるため、

年金制度の初期段階では、加入月の「単価」を上げる必要があります。

さらに時間が経過して、中期や長期で加入する年金受給者が出てきたときに、

当初設定した「単価」で年金額を計算すると、

今度は年金が高くなりすぎてしまいます。そこで、

年金制度発足後の期間が長くなるにつれて、

1カ月あたりの年金額の単価を徐々に下げていく必要が出てきます。

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つまり、年金制度には最初から「世代間格差」が含まれているのである。

しかし、時間をかけて年金単価を調整していけば、

年金額自体に格差が生じることはありません。

初期の年金発足:高い年金単価×短い加入期間
年金満期期間 低い年金単価×長い加入期間

そのため、年金単価に格差があっても、

各世代の人が受け取る年金額はあまり変わらないのです。

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しかし、日本の年金制度の場合、昭和初期に生まれた世代と、

団塊の世代以降の世代(1947~24年生まれの世代)との間で、

年金額に大きな差があります。

この格差は、「老齢厚生年金」の年金計算式に現れています。

老齢厚生年金」は報酬比例型の年金で、

年金加入期間中の平均報酬額に「乗率」と加入月数を乗じて算出される。

年金加入月あたりの単価は、平均報酬額に「乗率」を乗じて算出します。

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この「掛け率」は、世代によって異なります。

例えば、大正15年(12月には大正15年が昭和元年となる)生まれの

「掛け率」は「9.5 / 1000」だが、昭和21年生まれ以降の

「掛け率」は「7.125 / 1000」となるのだ。そうなんです。

“9.5 “が “7.125 “に下がったのです。

老齢基礎年金」は定額の年金と言われていますが、

定額というのは、年金に加入する1ヶ月あたりの

単価が一定の金額であるということです。定額は「単価」なので、

加入月数が違えば年金額自体も違ってきます。

また、この定額年金の「単価」には、世代間格差があります。

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サラリーマンの年金額は、その人の現役時代の収入や

加入月数によって変わるので、無条件には言えません。

しかし、団塊の世代以降の世代では、約200万円となっています。

しかも、年金額とは逆に、若い世代の方が保険料負担が大きいので、

支払った保険料と受け取れる年金の割合で見ると、

格差はさらに広がってしまいます。

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この大きな格差の原因は、日本の年金制度の歴史にあります。

日本の年金制度は1942年に創設され、戦後に再建され、

その後何度も改正されてきましたが、

終戦直後の年金制度は当時の先進国に比べて

貧弱(支給額が少ない。基準が低かった)。)

その後、日本は高度経済成長期に入り、年金制度も充実化が図られた。

昭和40年から昭和48年頃にかけて年金支給水準の大幅な引き上げが実現した。

この経済の高度成長期における年金制度の充実策により、

日本の年金制度は、年金制度の一般論とは

「逆コース」をたどることになったのである。

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