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年金は人生の60~70年に関わる公的制度なんです
前回、年金保険料の大きさから、”こんな大きな額を払っているのに、
なぜ年金を知ろうとしないのか?”と問いかけました。
では、どうすれば年金を知ることができるのでしょうか。
実は、年金制度を理解するのはとても難しいのです。
そもそも制度自体が複雑なのだ。
年金制度が複雑なのには理由があります。
まず、年金制度を単純化して考えてみましょう。
働けるときには年金保険料という形で支払い、
年を取って働けなくなったら年金給付を受ける。この形だけでも、
一人の人に限っても、20歳で年金に加入し、約40年間保険料を払い続け、
老衰で亡くなるまで年金給付を受けている。
一人の人間が生きている間に、幼少期を除いて約60年から70年の間、
負担と給付という形で年金制度に関わっていることになる。
そんな長い時間の中で、社会そのものが変わっていく。
社会が変われば、それに合わせて年金制度も変わる必要があります。
それは年金制度の改正という形で行われますが、
その改正によって不利益を被る人や世代がある場合には、
一定の既得権に配慮しなければなりません。
例えば、ある日突然、60歳の年金が65歳の年金に変更されたら、
そこで、そのような事態を防ぐために、年金を改定する際には、
一定期間、旧制度を残したり、時間をかけて徐々に変えていくことにしています。
これを「経過措置」といいます。
つまり、年金制度は「経過措置」という形で新旧の制度が混在しており、
それが年金制度を複雑にしている一因となっています。
時間軸が固定されていても、人々の生き方は多様です。
サラリーマンや自営業者が会社を辞めるケースもあれば、
サラリーマンと自営業者や専業主婦では、年金制度が異なります。さらに、年金制度には「老齢年金」だけでなく、「障害年金」や「遺族年金」も含まれています。
つまり、時間軸が固定されていても割と複雑なのに、時間軸が加わるので、どうしても年金制度が複雑になってしまうのだ。そんな複雑な年金制度を、一般の人が理解するのは難しい。テレビの報道でよく説明される年金制度は、あくまでも制度の一面に過ぎない。