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年金への不安と不満:年金制度は破綻するのか?
今回からは、いよいよ本編です。
まずは、”年金への不安と不満 “という文脈で、
さまざまなトピックを取り上げてみましょう。
年金への不安といえば、ニュース番組などの街の声のように
「どうせ年金なんてもらえない」など、
年金制度が維持できるのか?ということになるだろう。
現代は情報化社会なので、「(将来的に)年金制度が破綻する」
「すでに破綻している」など、さまざまな情報や見解が飛び交っているが、
そもそも「破綻」の意味を明確にしていない。されていない。
支払った保険料に対して、受け取る年金の総額が将来的に少なかったり、
少額になったりするという意見もあれば、少子高齢化がさらに進んだ場合には、
将来的に年金制 維持することが困難なため「破綻」するという意見もある。
いずれにしても、「破綻」の意味は文脈の中で解釈されるべきである。
必ずしも “年金制度がなくなる “という意味で使われているわけではないのだ。
年金制度が破綻しない理由
ここでは、文字通り、「年金制度がなくなる」という意味で「破綻」
という言葉を使います。どうせ年金はもらえない」という不安は、
「(将来的に)年金制度が消滅する」という意味になるのではないでしょうか。
先に結論を言うと、「年金制度がなくなる」という意味での
「破綻」はありえません。
このことを冷静に考えてほしい。年金制度は、
国民の社会保障制度の中核をなす制度である。
これが「破綻」するとすれば、国家の消滅や財政の破綻など、
国家の一大事が起きたときにしか起こり得ません。
そうなれば、年金制度以外の社会システムも崩壊していることになる。
そのような前提を想定した場合、個人の行動は、極端に言えば、
国を脱出するという過激な行動を取らない限り、
前提と行動が矛盾してしまいます。
そこまでいかなくても、金や外貨預金の購入を準備しなければなりません
(国家財政が破綻することを前提とすれば、同時に「円」の
価値が急落することも想定しなければなりません)。
そうですね。この人は対処できるけど、
それをやっている人はどれくらいいるんだろう?
個人年金に加入して貯蓄や投資をすることは、
年金の不足分を補うという意味では意味がありますが、
「年金破綻」に備えるというレベルには程遠いと思います。
年金が破綻するような社会状況では、彼らの「備え」が何なのかわからない。
つまり、「年金破綻」を想定し、それに完全に備えることはかなり困難であり、
「年金破綻」を想定することは現実にはあまり意味がないとも言える。
年金が破綻する」という不安は、ニュースを誤解していることが原因のようです。
マスコミの年金報道では、「お神輿型」「騎兵型」「ショルダーカー型」
などの例え話を用いて、少子高齢化で年金制度が危機的状況にあることを
説明することが多い。
保険料を支払う「負担世代」が多く、年金を受け取る高齢者世代が少ない場合、
多数の人が1人の高齢者を支える「神輿型」(支援者1人当たりの負担が軽い)となり、
少子高齢化が進む。進めば、支援者が減り、受給者が増えるので、
3人程度で高齢者1人を支える「馬乗り型」になり、
さらに高齢者1人を支える「肩車型」になるのでは?です。
年金制度が「肩車型」になれば、1人で2人分の生活費を賄うことになります。
家族を支える人は、自分の “家族+高齢者1人 “を支えることになる。
無理だと判断されたことから、年金制度は大丈夫なのか、
それが増えたら年金が破綻するところまで
行くのではないかと心配していましたが、その通りになりました。
これは、報告書の内容が間違っているということではありません。
要するに、受け取り方の問題なのです。現実には、前述したように、
国は年金制度を壊すことはできませんから、
破綻しないように最大限の努力をするでしょう。
その努力の方向は、年金支給額の水準を下げることである。
昨年末に国会で可決された「年金改革法案」もその一環ですが、
これについては次号で説明します。