老後の備えは万全?

公的年金にあまり期待ができない今の時代。長い老後の生活費を考えると、多くの人が不安になるのではないでしょうか。生命保険文化センターの実施した調査では夫婦2人でゆとりある老後生活を送るには、月々の生活費は35万4,000円が目安とされています。

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一方の公的年金はというと……厚生労働省が発表している夫婦の厚生年金の受給モデル金額は平成28年度の場合で22万1,504円です。

つまり、月々約13万2,000円も不足することに。この不足部分は貯蓄を崩すなど自分自身で補填していかなければならない、ということになります。


どうする?老後資金の準備

日本人の平均寿命は男性が80.50歳で女性が86.83歳。リタイア後の老後生活は約25〜30年と長く続きます。何歳でリタイアし、何歳まで生きるかにもよりますが、仮に25年間、先の月々約13万2,000円が不足した場合、その総額は3960万円にも及びます。現在35歳の人が、30年間でこれだけの金額を準備しようとすると、毎月11万円。多くの人にとって貯蓄だけでは難しい金額ということがわかります。

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今話題の「確定拠出年金」とは

そんな老後のための備えとして近年、注目されているのが「確定拠出年金」です。日本では2001年に導入され、「DC」や「401k」と呼ばれることもあります。確定拠出年金とは、毎月決まった掛金を拠出し、自ら運用指示をしながら将来の年金資金を作り、60歳から年金として受け取る私的年金のことです。会社単位で加入する「企業型」と、個人で加入する「個人型」の2タイプがあり、加入できるタイプ、拠出限度額などは法律で細かく決められています。

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確定拠出年金の3つのメリット

メリット1:運用次第で将来の年金額を増やせる!

確定拠出年金では、自分の掛け金を自分で運用した結果で将来の年金額が決まります。運用商品は投資信託のほかにも、預貯金や生命保険などの元本確保型商品があり、複数の運用商品を組み合わせることも、途中で商品や割合を変更することもできます。

投資商品をうまく活用できれば、掛け金を大きく増やして、将来、年金として受け取ることが可能になります。

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メリット2:ポータビリティがある

ポータビリティとは「持ち運びできる」ということ。確定拠出年金では、運用管理会社が加入者ごとに年金資産を個人口座として管理しています。この個人ごとの管理資産は会社間で持ち運びが可能。転職先に企業型確定拠出年金があればそれに加入、なければ個人型に加入できます。退職して自営業者になれば個人型に加入して、それまで掛けてきた年金資産を移管して継続することも可能です。

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メリット3:税制メリットが大きい

最大のメリットともいえるのが、その節税効果です。拠出時、運用時、受け取り時と3段階の税制優遇措置があります。拠出時の掛け金は全額所得控除の対象(個人型の場合)となり、所得税と住民税が軽減されます。運用期間中の利息や分配金、譲渡益なども非課税。60歳以降に受け取る際、年金として受け取れば公的年金控除、一時金として受け取る場合は退職所得控除の対象になります。

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2017年1月から主婦も加入可能に!

2016年7月現在、個人型の確定拠出年金に加入できるのは、会社に企業型の確定拠出年金がない会社員および自営業者に限られています。

しかし、2017年1月からはすべての人が加入できるように。これまで対象外だった専業主婦や公務員、さらにはすでに企業型に加入している会社員も個人型に加入できるようになる見込みです。

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いくらまで掛けられる?

今回の改正ですべての人が加入可能となる個人型。でも、年間の拠出限度額は人それぞれです。

  • 自営業者(公的年金の第1号被保険者):81万6,000円
  • 専業主婦(公的年金の第3号被保険者):27万6,000円
  • 会社員で企業年金がない人:27万6,000円
  • 会社員で企業年金が企業型確定拠出年金のみの人:24万円
  • それ以外の人(公務員・私学共済加入者など):14万4,000円

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専業主婦に税制メリットはある?

ただし、そもそも所得税がかかっていない専業主婦の場合、拠出時の掛け金は全額所得控除になるといっても、特に魅力にはなりません。

しかし、専業主婦に税制メリットがないわけではありません。

運用中や受け取り時の税制優遇だけでも十分に魅力的といえます。

個人で投資をする場合、投資信託の分配金や売却益には20.315%の税金がかかります。

また非課税投資が可能のため加入者が増大中のNISAも非課税となるのは、NISA口座内で商品を購入した年を含めて5年間のみ。

5年経過後は通常と同様の税金がかかります。

確定拠出年金で投資をすることでこれらがかからないことのメリットは小さくありません。

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確定拠出年金の盲点

とはいえ、確定拠出年金はメリットばかりではありません。デメリットもあります。たとえば、運営管理機関に支払う手数料。

いくら運用時の税金が非課税とはいっても、この手数料を上回る運用益が出ないことにはあまり意味がありません。

また、最大のデメリットといえるのが、拠出したお金が原則60歳まで引き出しできないということ。想定外の出費によって貯蓄だけでは足りない!となっても、確定拠出年金で運用しているお金は引き出すことができません。

つまり、老後までは「使えないお金」になるのです。

あくまでも家計に無理のない範囲で、ということが確定拠出年金を賢く使いこなすポイントといえるでしょう。

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