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「介護保険」と「貯蓄」どちらが得か教えて下さい?
子どもの世話にはなりたくない――。でも、先立つものがないと、ホームヘルパーも頼めない。介護資金を用意するベストの方法を考えよう。
募る「寝たきり」不安! 「介護保険」と「貯蓄」どちらが得か?
「自分と同じ60代に近いスタッフがいるホームを選ぶことが大切だ。彼らなら同じ世代の人間の気持ちを察して、痒いところに手の届くサービスを行ってくれるからだ」
介護付き有料老人ホームの経営者から聞いた話である。
人間は年老いていくと、だんだん体の自由がきかなくなってくるもの。炊事、洗濯、掃除など普段の身の回りのことができなくなったら、誰かの手助けを必要とする。
そのとき思い浮かぶのが、「できるだけ子どもの負担にはなりたくない」ということ。だからこそ、何百万、何千万円という身銭をなげうってまで、有料老人ホームへの入居を希望する人がいるのだろう。
でも公的介護保険だけでは、何となく心許ない。そこで、「準備をしておこう」という気になる。
図にある「死亡給付金付き」のタイプを見てほしい。要介護になったら介護一時金が60万円、そして毎年介護年金が60万円給付される。また、死亡給付金は300万円だが、受け取った一時金や年金があると、その分が満額の300万円から引かれる。
そこで50歳で加入し、75歳で要介護状態になり、3年後に死亡した場合を考えてみたい。70歳までに払い終えるので、払込保険料の総額は「1万5840円×12カ月×20年=380万1600円」。
それに対して受け取る給付金は、一時金の60万円に介護年金が3年分で180万円、死亡給付金が「300万-60万-180万=60万円」だから、総額300万円ということになる。つまり、80万1600円ほど掛け捨てとなるのだ。
死亡給付金付きタイプよりも割安感があるが、保険料を終身払い続ける必要がある。そのため、要介護になる年齢がもっと遅くなると損益分岐点はずっと長期になる。こちらは早く要介護になるほど有利な保険といえよう。
これだけまとまったお金を介護保険に回す余裕資金があるなら、他の金融商品で運用をしたほうがずっといい。公的な介護保険で足りない分は、そうした蓄えを取り崩して充てていくという考えも十分に成り立つはずだ。