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遺産相続でもめる 問題は家族が亡くなる前に話をしておくこと!
家族が遺産相続でもめないために、亡くなる前にできること
相続は争族と言うけれど……
**「相続が争族になる」**とはよく聞く話。でも、これは資産家だけの話で、自分の場合は関係ないと思っていませんか?
でも、実は相続でもめるかもめないかは、資産の多い・少ないとはあまり関係がないのです。なぜなら、たとえ少額であったとしても、臨時収入によって自分の財産が増えることになるのであれば、きれいごとではなくだれもが自分の損得を考えてしまうから。これが現実なのです。
どうしてもめるのか?
相続が発生すると、相続人(遺族)は被相続人(死亡人)の財産を継承します。相続人が複数人いる場合、みんなで財産を分けるようになります。これが「遺産分割」です。
ただ、相続財産によっては上手く分割できなかったり、相続人同士で分割の割合に不公平感を覚えたりする場合もあります。
例えば、相続財産が被相続人が住んでいたマイホームだけなんていう場合、公平に分割するのはなかなか至難の業ですよね。その他にも、被相続人の生前に経済的な援助をしてもらっていた人がいれば、それが争族の原因になることだってあるのです。
相続分が法律で決まっていると聞いたけど?
相続人の範囲と法定相続分は、民法で定められています。たとえば死亡した人に妻と子どもが3人いれば、相続人は妻と3人の子ども。DINKSで子どもがいない人が死亡した場合は、妻と故人の父母が相続人、というように家族状況によって相続人が定められているのです。
相続割合はというと、たとえば相続人が妻と子ども3人の場合、妻が1/2、残り1/2を子ども3人で均等に分割することになります。
相続人が妻と故人の父母の場合には、妻が2/3、残り1/3を父母で均等に分割することになっています。
ただし、この割合に基づいて遺産分割を成立させるのであっても、全員が納得し、遺産分割協議書に合意しなければなりません。
「私が一番面倒見ていたのに……」で、もめることが多いって本当?
貢献した人には寄与分がある
実は、民法で法定相続分が定められていても、実はこれは各相続人が相続する割合の「目安」。絶対に守らないといけない割合ではありません。
というのも、この割合には各相続人の貢献度合いが反映されていないのです。自分一人が付きっ切りで親の介護や面倒を看ていたのに……というケースなど、遺産を平等に分けるのは納得できないこともあるはずです。
このように、相続人の中に被相続人の財産の維持または増加に特別の貢献をした人がいる場合は、その人の貢献の度合い(寄与分)に応じ、相続分が上乗せされる場合があります。これを「寄与分」といいます。
面倒を見ていただけでは寄与分はもらえない?
しかし、仮に年老いた親を扶養していたといっても、扶養義務や親族間の助け合いは普通のこと。それだけで必ずしも寄与分が認められるとは限りません。寄与分=肉体的・精神的労力ではなく、「被相続人の財産の維持または増加に特別に貢献した」という「お金の問題」が絡むのです。
例えば、本来付添人を雇うべきなのに自分が看病したため出費を免れた、親の医療費は自分が払ったため財産の流出を防ぐことができたなど、親の財産の維持に貢献したという事実が必要です。
生前贈与にも気をつけて
親と一緒に住んで面倒を見ていたから寄与分を主張しようと思っても、親のお金で暮らしていたら逆に生前贈与と反逆されるかもしれません。
生前贈与は「特別受益額」ともいい、生前に被相続人から贈与を受けていた場合の贈与額などをいいます。
「親にマイホームの頭金を出してもらった」「親に住宅ローンの肩代わりをしてもらった」「親に孫の教育資金を出してもらった」など、兄弟間でもめる原因の多くが、こうした特別受益額なのです。
もめないために!亡くなる前にできること
遺言を書いておく
大した財産でもないから、自分の家族は仲良く解決するからと多くの人が思ってしまいがちですが、実際に相続が発生すると想像通りにならないのが現実。円満な相続のためにはあらかじめ遺言を書いておくことがおすすめです。
遺言書は家庭裁判所で検認される必要がありますが、遺言書として無効と判断されない限り、法定相続よりも優先される強い効力を持っているのです。
遺言の内容次第ではトラブルも、遺族に配慮して
そうはいっても遺言をするだけでは争族回避にはなりません。遺言する内容に不公平がないように、バランスを大切にすることが最も大切です。
親から子どもへと資金援助をすることもあれば、歳を取ってから子どもに援助してもらうこともあります。親と子、それぞれの貢献度を確認しつつ、遺言を残しておくと“争族”が回避できるかもしれません。
相続財産の確認と準備も必要
遺言で相続割合の指定をしようにも、財産のほとんどが不動産である場合など、実際には分割が難しいケースもあります。
分割の方法には、その不動産を取得した人が他の相続人に代償金を支払うという「代償分割」や、その不動産を売ってしまって、
売却代金を分割する「換価分割」などがありますが、それらは簡単ではありません。
争族を回避するためには、あらかじめ財産全体を見て、バランスを確認しておくことも必要でしょう。場合によっては、受取人を指定して生命保険に加入するのも一つの方法です。
「お金」と「家族」が絡む相続。“争続”を避けるための方法をいくつかご紹介してきましたが、最も大切なのは家族の日々のコミュニケーション。
これに尽きます。いつか訪れる相続のために、普段からコミュニケーションを図り、常に良い関係を保つ努力こそ、争族回避への一番の近道といえるのではないでしょうか。